「ガルパン」以降の聖地巡礼

聖地巡礼」。そんな言葉がある程度認知されるようになったのは「らき☆すた」の頃だったと思う。(こういう「女子高生」の「日常」モノなんていうのはもういい加減にしてほしいね)

最初は勝手に行って絵馬を奉納したり写真とったりというものだったのがいつの間にか現地の方々もそういう客を目当てにいろいろなイベントをひらくようにもなったとか。
2013/9/1現在でも、鷲宮商工会のホームページのトップには「らき☆すた公式グッズ情報」が。

他にも、ここ数年では「true tears」の聖地巡礼が有名で、らき☆すたのようにライト層まで幅広くとはいかないが熱狂的なファンが巡礼者と化しているようだ。

つい最近では「花咲くいろは」や「あの夏で待ってる」 がそういうイベントをやってるよ、という情報を見た。(花咲くいろははいつか見てみたい。)

そして、「ガールズ&パンツァー」である。
先々月、先月は二週間に一回くらいはテレビのワイドショーで「今大洗に観光客が殺到!その理由とは?」とか「大洗町、『戦車』で町おこし!」とかいう特集が組まれていた。
おそらく、動員数はらき☆すたを超えて過去最大の聖地巡礼市場が生まれたのだろう。
特集をみると、ガルパン自体が大洗の町並みをほぼ現実そっくり使っていること、町の人達もガルパンを使った町おこしに概ね協力的で町ぐるみで盛り上げることができていること、そして自衛隊の協力も得られてイベントに本物の戦車を持ち出すことができたこと、などが成功の要因としてあげられていた。
ガルパンは終わったら見ようと思っていたのだが、登場するティーガーがポルシェ型とと聞いてどうも「どう?わかってるでしょ?」感を感じてしまい、結局みてない。でもそのうちみるかも)

話は変わって、埼玉県川越市に行ってきた。
観光地としてはちょっと物足りないかな…というのが感想なのだが、どうやら川越もアニメを使ってまちおこしをしようという動きがあるようだ。

神様はじめました」 というアニメの舞台が川越らしく、タイアップグッズを売っているところがちらほらあった。すでに放映終了してから半年以上たっているので(放映期間はガルパンとほぼ同じ。ガルパンの方は2013年にも持ち越した分があるが) 全盛期ではないわけだが、それにしても取り組みが中途半端。
全面に押し出すでもなく、たまに土産物屋の片隅にPOPが置かれていたり、グッズが売っていたり。
逆に公式サイトをみても、ひと目では川越が舞台になっているとはわかるようになっていない。
制作側と川越市側との間で協調しているという姿勢はあまり感じられなかった。

同じような光景は何回か見たことがある。
 アニメによるまちおこしはそう簡単なものではないようだ。いくら地元が頑張ろうとも作品自体の人気が出なければ意味が無いし、仮に人気が出たとしても「その舞台にいってみたい!」と思わせてくれなければ駄目だ。

地方の商工会の人達が、アニメなんてものは1クール当たり何十作品も作られて、人気が出るのはそのほんの少し、ほとんどは3ヶ月ごとに使い捨てられるだけ、というアニメ業界の現状を知っているだろうか。
最近の大洗&ガルパン特集を見てしまうと、アニメとタイアップすれば簡単に観光客が増えるのか!なんて錯覚をおこしてしまうのではないだろうか?

そこにつけこみ、悪いもの達が「じつはおたくの町を舞台にしたアニメがあるんですよ~。うまくこの波に乗れればあの『大洗』みたいに観光客が激増するかもしれませんよ~。というわけでグッズ作って売りませんか~?一応ライセンス料を払ってもらうカタチになってしまうんですが~。」みたいに地元商工会に忍び寄ってきて、あげく作品内では特にその町を意識させることもなく、そういう設定も裏にあったね、程度に留めてしまうなんていう詐欺まがいのことが行われているのではないだろうか。

実際はさらにひどくて、「実はおたくの町を舞台にした『人気漫画』があるんですが、これをアニメ化したらきっと観光客が押し寄せてきますよ~。ただ、資金的にアニメ化は今の状況では厳しいんですね~。……商工会の皆様が出資してくれればアニメ化可能なんですが~。」なーんてことになっているかもしれない。

ガルパン聖地巡礼ビジネスが成功したのは、本当に稀有な例なのである。
作品と地元がしっかり連携できていて、しかもうまいことヒット作品になれた。するとそれにのっかろうとする強力なサポート(自衛隊)も現れて、ますますヒートアップするということになったわけだが、こんなことはそうそう起こるものではない。

さらにいうと、その作品がドラえもんちびまる子ちゃんくらい長く続けば長期的なまちおこしにつながるかもしれないが基本的にアニメの盛り上がりなんて短期的なものだ。今となってはらき☆すたなんて話題にあがるだろうか?
ガルパン人気も、続編が制作されない限り来年の今頃まで続いていることはないだろう。
大洗も「ガルパン」人気なきあとも観光客をひきつけることができなければ、元の木阿弥になってしまう。

アニメでまちおこし。成功させるのは難しいし、 成功したとしてもその後のことを考えなければ結局は一時的なものに終わってしまう。
アニメとタイアップすればほいほいオタクがやってきてポンポン金を落としていく…そんなうまい話ではないのだ。

地元商工会の方々も冷静に考えてほしい。そして、安易なアニメでまちおこしを狙ってお寒い結果が出てしまうことがなくなることを望む。