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同人誌の印刷所

このたび、C84で同人誌を出す、ということとなった。
もちろん抽選で落とされる可能性はあるが、競争率の高いジャンルではないと踏んでいるのでおそらく無事にスペースをとることは可能だと考えている。
コミケットの精神として万人に表現の場を提供するというものがあり、このため抽選も完全に平等ではなくニッチなことをやるサークルは多少考慮してくれるらしい。まったくオンリーワンなことをやっているサークルはまず落ちることはない、とすら聞く。
自分達はジャンルコード240(同人ソフト)での申し込みなのだが、「自作ハード」なので少しは優遇してくれるのではないかな?と甘い期待をしているのであるが…。

余談だが、C83ではジャンルコードと日程の関係が大きく変更されたらしく、今までは○○は二日目、××は三日目とほぼ固定されていたものたちが結構動いたらしい。ここ数年コミケットの男女比が変化しているということがあらわれているのではないかと推測している。
ちなみにC84ではジャンルコード240は三日目に配置されることになる。(変更の可能性はあるが)
コミケット終了の瞬間をサークル参加で味わえるというのはきっと素晴らしい経験になると思う。

一緒に出す人はコピー本なら出したことはあるというので一応経験者なのだが、自分はそれすらもない。そんなサークルであるが、いきなりオフセット本を出してしまうことになったのである。
もちろん内容も悩みどころなのだが、直近で最大の問題は印刷所をどうするか、というものである。
知り合いに経験者がいれば相談もできるのだが、残念ながらコピー本を出したことのある友人ならいるが、オフセットとなるといなかった。
しかし、経験者がどうやっているのかを知る手立てはある。そう、同人誌の奥付をみればいいのである。

もともと同人誌を読んだ時は必ず奥付を確認していたので、同人誌の印刷によく使われる印刷所というものはどこらへんなのかはなんとなく知っていた。この業界ではどうやら「ねこのしっぽ」と「コーシン印刷」が二強のようである。
とりあえずこの二箇所はおさえておく。
同じようなことを繰り返していって、ある程度信頼度の高そうな(=よく使われている)印刷所を調べる。こうしてリストアップしたものを改めてぐぐって調べて料金や評判から決めていくことにした。
(つまり、同人誌の奥付で一次選抜を行いその後で改めて二次選抜にかけるという国立大の入試みたいなことをやろうということだ。)

ここからが本題なのだが…

この作業をやっていて、気になることがあった。
成人向け同人誌でも、比較的「ノーマル」なものは前述の「ねこのしっぽ」であったり「コーシン印刷」であったりと、よく見る印刷所で刷られている場合が多い。一方で多少「先鋭的な」 というか、変態度が高いというか要するに過激なジャンルのものはあまり聞かない印刷所で刷られていることが多いと感じたのである。(といっても、調べたら同人誌印刷所としてはそれなりに有名らしいところなのだが。あくまで「ねこのしっぽ」とかと比べたらマイナーというだけで)
単にそういうものを描くサークルが少ないから偶然偏った結果が出たのかもしれないが、もしかしたらこれにはきちんと理由があるのかもしれない。

同人誌には、商業作品のように審査団体のようなものはない。アダルトゲームであればメディ倫ソフ倫といった審査団体があり、審査団体ごとの統一された基準で審査を受けている。
同人誌にはそのようなものはなく、審査は印刷所ごとに行われている。
たとえば「消し」が弱すぎると判断された場合、その時点でサークルに連絡が行って印刷をやめるか、印刷所の基準で再修正をして刷るか選ばせるということになる。差し戻されて筆者が修正するということはなく、基本的に印刷所の人が修正することになるようだ。スケジュール的な問題があるからしょうがないとはいえ、他人に自分の創作物を修正されるのはいい気持ちではないだろう。
この印刷所ごとの審査が「消し」具合以外に内容に対しても行われているとすれば、全てつじつまが合う。
通常のサークルは値段や印刷クオリティといった基準で好きな印刷所を選べるが、過激な本を描くサークルは多少高くても印刷の質が劣っても審査の緩い印刷所を選ばざるをえないのではないか、と。(印刷の質が低い、とか言っちゃうので過激なサークルの使う印刷所名はださなかったw)
印刷の質はともかくとしても、大手の方が「暖めると色が変わる表紙」とか、そういう特殊なものが刷れる印刷機を持っていたりいろいろとメリットはあるのだ。

この考えに至ったのには理由がある。
追っているサークルの一つに、「獣姦」などかなり過激なテーマを扱うことの多いサークルがある。このサークルの本を追っていくと、普段Aという印刷所を使っているのである。しかし、そのサークルにしてはそれほど過激ではない本を2010年に出しており、これはAではない印刷所で刷られている。その後再び獣姦本などを出す時はやはり印刷所Aを使っている。
単にその回だけいろいろな理由があってそうなったのかもしれないが、もしかしたら「普段は基準が緩いからAを使わざるを得ないけど、今回はそれほど引っかかる要素もないし、安いところにしよ~っと!」みたいなことを考えたのではないかと勘ぐってしまう。

また、Yahoo!知恵袋のとある質問に対して、「印刷所B(あまり聞かず、またとある「過激」めなサークルが利用)の社長さんは同人出身だから理解がありますよ。」のような回答があった。
この「理解」とは質問の流れから言って、同人はしばしば締め切りを過ぎてしまうことについての理解であって、多少納期を過ぎても印刷してくれますよ、という意味なのであるがそういう理解のある人なら内容面でも「理解」のある人なのかなと思ってみたり。

本の内容と印刷所、はたして関係はあるのかどうか。このことを確かめるために行うべき調査として以下のようなものを考えた。
まず、その同人誌の内容がどれほど諸審査団体(メディ倫ソフ倫、プロ倫…は関係ないか)の定めた基準に抵触しているかを調べる。印刷所の独自基準とはいえ、既存の、しかも広く使われている基準を参考に作られていると考えられるからである。そもそもそういう審査団体が問題ないと判断しているようなものをアウトと判断するような性的に厳格な印刷所は、エロ同人誌の印刷などやらないだろう。
そして複数の審査基準に引っかかるような要素には高いポイントを、一つの基準に引っかかる程度のものであれば低いポイントを、というように要素ごとにポイントを与えていってその同人誌の内容の「過激度」を定量的に与える。
この際に一般人に「このエロ同人誌はどれくらい過激だと思いますか?」とアンケート調査を行うということも考えられるが、それはいろいろな制約があって難しいだろう。社会的に死亡することもいとわないと言うのであればどうぞやってみて欲しい。また、個人個人の嗜好が反映される上に絵のタッチによってもバイアスがかかりそうなので(いわゆる萌え絵みたいなのだと低く、劇画タッチだったりすると高く評価されてしまうと思う)審査団体の基準をベースに分析した方がいいと考えられる。
こうしてえられた過激度の度合いごとに、どの印刷所を使っているのかの統計をとる。

最終的に有意な差があらわれれば、先ほど提唱した仮説は証明され、さらにこれから過激な同人誌を出そうとする諸君が印刷所を選ぶ際に参考になると思う。
だって、せっかく自分が書いたものを修正されたくはないでしょ?

というわけで、是非暇なニート諸君方は先ほどの調査をやってみて欲しい。


#書いていて思ったのだが、そもそも「ねこのしっぽ」や「コーシン印刷」が最大手であるという確証すらない。もしかしたらこれは自分の守備範囲内だけの話であって、全体で見れば全然違うのかも。