学士の異常な愛情 または私は如何にしてJPOPを聞くのを止めて電波ソングを愛するようになったか

もともと僕は音楽なんて聞く習慣がなかった。中学二年生のころは「加藤隼戦闘隊」とかそういうのはちょっと聞いてたけど。
そんなのが自分でイヤホンを作ってまでどんなものを聞くようになったのか、というお話。

今でもやってんのか知らないけど、2006年あたり「電波ソング大賞」というのが盛り上がっていた。そのころちょうどニコニコ動画が開設されたのがあんなに盛り上がった理由だと思われる。(2005,2007はそんなに盛り上がってると感じなかった記憶が。2006だけの確変だった?→実際調べてみたら投票数が、、、)
ちなみに僕がニコニコ動画に会員登録したのは大学入ってしばらくしてからなので2011年かな?と。当時ガイドライン板系の淫夢厨だったんだけど、どうしても淫夢動画を見たくなって登録した。そういう経緯もあって、ニコニコ動画って淫夢動画を見る以外使わないんですよね。なぜか嘘だと思われるけれど。

  

2006のランキングを見ると、一位が『ガチャガチャきゅ~と・ふぃぎゅ@メイト』(MOSAIC.WAV)、二位が『魔理沙は大変なものを盗んでいきました』(IOSYS)、そして六位に『患部で止まってすぐ溶ける ~狂気の優曇華院』(IOSYS)が入っている。
一位と二位は実はそんなに好きではないんだけれども、『患部で止まってすぐ溶ける』は歴史に残る名曲だと思う。
2007を見ると、二位に『洗脳・搾取・虎の巻』(MOSAIC.WAV)、八位に『ガチャガチャへるつ・ふぃぎゅ@ラジオ』(MOSAIC.WAV)が入っている。
ちなみに、『巫女みこナース・愛のテーマ』(Chu☆)は2003年の曲で(なんと十年以上前!)そういえば小学校六年生とか中学校一年生のころは「おもしろフラッシュ倉庫」とか見まくってたなぁ、と。BMSA系はいま見ても面白いなぁと感じるけど、「おもしろフラッシュ」は今見るとほんとなんでこんなんを面白がってたんだろうって感じ。

電波ソングという言葉はいまいち定義がはっきりしていないが、個人的に最も重視したいのが聞いている時の陶酔感である。『ガチャガチャへるつ・ふぃぎゅ@ラジオ』が高評価で『ガチャガチャきゅ~と・ふぃぎゅ@メイト』がそんなに評価できないのはこの陶酔感が足りないからだ。

 この陶酔感には曲調がもちろん重要(ガチャガチャきゅ~と・ふぃぎゅ@メイトよりガチャガチャへるつ・ふぃぎゅ@ラジオが高評価なのはこのため)だが、次に歌詞も大事。
単語単位、文単位での意味が把握できても全体として統一した世界観を欠いているものがよい。 カッコつけて言えば、「主人の能記の欠如」だ。※
その点『メイドさんロックンロール』等「メイドさん」シリーズなんかは、「猥歌」であって電波ソングというカテゴリはふさわしくないと思う。電波ソングは下品な単語を並べれば面白い、というものではない。その点、『患部で止まってすぐ溶ける』はすばらしい。
一方、2006年の12位に『願うこの身よ、燃えて月までも』 (IOSYS)が入っているけれども、これなんか十分確立された世界ができている。単に「いい曲」であって電波ソングではない。『チルノのパーフェクトさんすう教室』(IOSYS)は電波ソングだけど、『恋の氷結おてんばチルノ温泉』(IOSYS)は違うと考えられる。 IOSYSの(比較的)新しい曲では『少女さとりのさとりったー』がいい電波。
 近代的人間観の想定する論理的な「私」を解体し、語りえない「体験」として迫る詩なのである。
※河出文庫の「ロベスピエール・毛沢東」(S.ジジェク 訳:長原豊)を読みなおしたけれども、この訳は読みづらい。電波訳だろこれ。
 
エクスタシーの意味は「外に-立つ」である。魂が肉体という殻からはみ出し、個と全が混ざり合う瞬間、マクロコスモスとミクロコスモスの合一、梵我一如。
電波ソングを聞くこと、それは宇宙の真理に触れることなのである。