罪悪感

ジェネレーション天国という番組がある。
見たことない人も多いと思うので簡単に解説してみると、毎週あるテーマを設定し、六十代以上、三十代~四十代、十代~二十代の3つの世代ごとにそのテーマについて特徴的な(流行った)商品を紹介し、スタジオの反応を映すというものだ。直接的には言及されていないが、だいたいその世代の人達が子供時代を過ごしたときに焦点をあてていると思う。
十代~二十代の部分については、今現在の流行を取り上げるということになっているのだが、「本当にそんなものが流行っているのか」と突っ込みたくなるようなものが多い。おそらく宣伝費をもらって、CMをしているだけだと思う。

そんないかにも低予算かつステマ番組…なのだが、なんと結構面白かったりする。

前述のように十代~二十代パートはただの宣伝なのでどうでもいいのだが、六十代以上、三十代~四十代のところは興味深い。

昭和何年にテレビ放送が始まった~というのはすでに近代史の領域に入っており、歴史の教科書にも載っている。(力道山とセットの場合が多い。)
だが、実際にその時代の人たちはどのようにテレビに関わっていたのか、をまさにその時代に子供だった人たちがそのリアルな体験を語っているところが面白い。

ダイヤル式のテレビは取っ手が取れやすいので、なくしてしまうことが多かった。そうすると、チャンネルを変えるためにいちいちペンチでダイヤルを回さなくてはいけなかった…
そうだ。

この前のテーマは「お風呂」であった。
で、ひとつ気になった部分があった。

今の十代~二十代には、お風呂でアイス、特にカップアイスを食べるのが流行っているらしい。お風呂の中は暑いのでアイスなんか簡単にとけてしまうのだが、溶けたそれを飲むのがいいという。
こんなのアイスと家風呂さえあればできるので、昔からやっている人はやっていると思うんだけどなぁ。
でも、一応この番組内では「若者に流行」ということなので、上の世代の出演者たちは批判的な意見をぶつけ(「風呂はものを食べる場所じゃない」「上がってから食べろ」等々)
当該世代の出演者が擁護する。(「暑い中で食べるからうまい」「お風呂にゆっくり入る分、お風呂の中でいろいろしたい」等々)

自分としては、飲み物はともかくアイスは溶けるから無いでしょ、それにアイスは固まってるからおいしいのであって、溶けたら絶対まずいだろと思ったのだが、それはどうでもいい。
お風呂でアイス擁護発言のなかに、以下の様なものがあった。

「お風呂で汗をかきながらだと、罪悪感がなくていい」


 要するにアイスは結構カロリーが高いので、食べると運動しなくちゃ、とかまた太っちゃう~とか後悔することになるが、お風呂で汗をかいてカロリーを消費しながら食べればそういうことを考えずにあとぐされなくアイスを楽しめる、ということである。

この発言そのものには納得行かなかったが(上がってから食べようがカロリーの収支は変わらなくない?)、そこから考えを深めていくと結構お風呂アイスは魅力的だと思った。

家族と住んでいたら、普通お風呂にアイスを持ち込もうとしたら怒られると思う。
まさしく「お風呂は体を洗う場所であってものを食べる場所じゃない」っていうふうに。

それを監視をかいくぐってうまく持ち込んで、または監視の無い日にお風呂アイスを実行したら、単純にアイスがうまいにとどまらない快感があると思う。
お風呂アイスは「罪悪感がある」からこそ美味しいんだと思う。

しかし、アイスは本来冷たいままで味わうもの。溶けたら味は落ちると思う。(ガリガリ君なんかは溶けたらそもそも食べられなくなる。受け皿を用意しない限り。)
そういう負の効果が罪悪感を相殺して、結局普通に食べるより効用は減るだろう。
アイスはお風呂上りに食べましょう。