英語の前に分子生物学を必修化しよう

ぼくの通っていた高校は、だいたい毎年全生徒の2/3が東大を受け、そのさらに半分が結局東大に進むという感じになっている。
というわけで直接口には出さないものの教務側も基本的には東大受験をさせる、という方向でカリキュラムを組むし履修科目も決めている。(昔家庭科の履修漏れという問題があったけど、あの問題が発覚してからも堂々と授業時間を規定の半分で済ませていた)

その最たるものが、「地学」があるという点だろう。
(受験したことのある人ならわかると思うけど、理三は生物をまったく知らなくても受けることができる。物理と地学で受験することができるのだ。)

理系志望の場合高校一年時に理科三科目、二三年では一科目へって二科目を受講し、うろ覚えだが文系志望の場合は確か高一で三科目、高二で二科目、高三で一科目(しかもセンターレベルの簡単なやつ)という感じだったと思う。

そして、自分は高一では物理化学地学、高二からは物理化学という選択をした。
中学理科の影響で生物が大嫌いになっていたのである。

まず、理科の資料集に虫の写真(特にクモ!)がのっているのでもうダメだった。自分はうっかり開かないようにしっかり糊付けして生物系のページが開かないように対策していた。
そして、虫以外もタイクツな植物の分類だとかおしべとめしべの本数がどうとか、覚えていったい何をさせたいのかわからないような内容ばかり。
なんというか、自然科学に達していない博物学の段階にとどまっているようにしか思えない。体系だっていない豆知識を並び立てているだけだったという記憶がある。
(一応調べたら植物の分類とか以外にもやってたらしいけど、全然覚えてない…)

そんなわけで生物=キモい、退屈というイメージをずっと持っていたのだが…最近分子生物学が面白いということに気づいた。

単子葉類がどう、裸子植物がどう、とかいう個別の「豆知識」の羅列ではなく、生物に共通する原理の探求を行っているし、分子生物学自体がDNAの発見からまだ50年くらいしかたっていないためか非常に勢いがあるというか、まだまだ広大なフロンティアが残っているということが素人目にもわかり、とてもエキサイティングな学問分野であるということがまだ入門書を読んだだけの自分でもわかる。(物理学なんかだと、歴史がある分どこが今アツイのか、とか何がまだわかっていないのかということを理解するレベルに達するまでが大変そうである。)

分子生物学の徹底した要素還元主義的手法は「生」とはなにかを見失いがちである、と時に批判されるそうであるが、少なくとも裸子植物と被子植物の違いを覚えるよりは生命の本質に対するヒントを与えてくれるだろう。要素還元主義は要素に還元し新たなモデルを組み立てるというスクラップアンドビルドの工程の一部であり、「スクラップ」の部分だけを取り出して批判するのはおかしい。
スクラップしかしていなくてもスクラップもせずにただ眺めているよりなんぼかマシである。

自分は受講していないし教科書を見たことも無いのでわからないのだが、高校の生物からはどうやら分子生物学を学ぶらしい。
しかし、高校からは理科を全科目学ぶとは限らず生物地学は中学でサヨウナラという人も多いだろう。
だからやはり中学で学ぶようにするべきだろう。そうすれば一応全員が触れることになる。

社会的にも昆虫博士や植物博士を量産するよりもモダンな生物学のわかる人間が多いほうがいいはず。
そこから将来的に生物学を専門に学ぼうという子も出てくるかもしれないし、より実務よりで医師になろうという子も出てくるかもしれない。

でも、虫嫌いでは生物学者にはなれないか。