諏訪奇神譚異聞 上

「諏訪大社」と一言にいっても実は四カ所に分かれて存在している。湖を挟んで上社と下社、上社はさらに前宮と本宮、下社は春宮と秋宮で成り立っている。春宮と秋宮は割と近くだけれども、前宮と本宮は2kmほど離れている。

春宮と秋宮は対等で、同じ神様が時期によっている場所を変えるというものであるそうだ。一方前宮と本宮には序列がある。前宮がかつては本宮の摂社だったということだそうだ。摂社=関連の深い神を祀るもの、という認識しかなかったので、本社と同じ祭神の摂社というのはちょっと意味がわからないですね。(また、前宮は本宮よりも先に存在していたから前宮である)

秋宮はほんとに普通の神社という感じ

  
 下社のほうは住宅街の中にあるし、本殿がないとはいえ割と普通の神社である。強いて言えば春宮のほうがいいかな?という感じ。

春宮は内側から鳥居の方を向くと市街地まで見通せるのもよい

春宮のほうがすぐとなりに川が流れていたり木々が多かったり。近くに万治の石仏という石像もある。これは岡本太郎が大変気に入ったものである、ということだそうだ。


一方、上社の方は古代の信仰のカタチを想起させるものがあふれていて素晴らしい。前宮と本宮を結ぶ道沿いにはまったく由来のわからない小さな祠が点在している。「神長官守矢史料館」の資料によれば、それらの祠はもはや誰を祀っているのかもわからない。一体いつ誰が何を思ってこの祠を作ったのか。今となっては、それを知るものは誰も居ない。

前宮は交通アクセスが非常に悪いので注意

 ただ、残念ながら本宮のほうは工事中であった。

 幣拝殿がなく、写真パネルだけになっている。(老夫婦は最初気がついてなくって、「なんかこの建物だけ白っぽいな…」なんて言っていた)

電車ではなく「かりんちゃんバス」というバス路線が便利

 他の三社は拝殿を囲むように長方形を描いて御柱が建てられているが、本宮だけはかなり変則的な配置になっている。しかも拝殿に当たる建物がご神体の守屋山と違う方向を向いている。磐座の硯石の方向とも違う。
実は各施設もともと全く違う配置だったのかも?

古事記の記述なんかを考えると、ヤマト政権に侵略された出雲の人々が逃れてきて諏訪を侵略し、でも結局は諏訪もヤマト政権に平定されたということだろうか。もともと製鉄技術を持っていた出雲の人々が白鳥を追って辿り着いた地…。それが諏訪なのかもしれない。


Appendix

諏訪大社を巡るなら、上諏訪温泉付近に宿を構えるのがおそらくベストで、最低二泊三日は必要。
下社は下諏訪駅、上社は茅野駅が最寄り駅ということになっているが、電車で回るのは無理。下社の2つはともかく、茅野駅から本宮まで歩いて行くだけで一時間以上かかる。
そこで、バスを使うことにする。諏訪湖周辺を一周する「スワンバス」と諏訪市内を走る「かりんちゃんバス」の市内循環線の2路線が使える。どちらも一日6循環程度しかしないので、一本乗り過ごすと大変なことになる…。(運行間隔は2時間以上)上諏訪駅からスワンバスで春宮、かりんちゃんバスで本宮、ともに一時間程度。