AbemaTVってなんなんだ

という話を会社でした。いちおう自分の会社のサービス最大のライバルといってもよく、みんないろいろと考えていた。

スマートフォンもPCも、テレビと違って「いろんなことができる箱」である。そこに単純にテレビと同じものを持ち込もうというのは正気の沙汰ではないように思える。

主に2つの説、というかみんながある1つの説でコンセンサスに達しているのに自分だけ別の説を推すという状況になったので、比較検討してみる。

広告の掲載先を自前で持ちたい説

サイバーエージェントの本業は広告代理店である。なので、広告を出したいクライアントと広告を出す先両方が必要だ。

参入障壁の高い既存メディアの場合は大手広告代理店とメディアがスクラムを組んで護送船団を形成しているが、ネットメディアではそうはいかない。今でこそサイバーエージェントは大手でいるけれども、その地位は電通や博報堂のような安定性を持っていない。そこで、サイバーエージェントが自前でメディアも持つことで自前で護送船団を作ろうとしているのではないかという説。

いまの地上波テレビと同規模のメディアを目指す、というのが対外的なメッセージだけれども、実際にはメディアの規模を「マスメディア」に育てるよりもよりもクライアントから先はすべてサイバーエージェントというエコシステムを形成することのほうを重視しているのではないだろうか。

これはまぁ妥当なように聞こえるが、自前メディアが「テレビ」という形態を取っている必然性がない。YahooのYahooニュースだとかスポナビみたいなのでもよかったはずだ。わざわざ莫大なコストがかかるテレビ形態を選んだ理由が説明できないのだ。

タレント説

一方で自分が推したいのがこの説。

以前の記事で書いたことであるが、テレビというのはなかなかすごいエコシステムを形成している。二年前に書いた記事で、今以上に日本語がひどいのはご愛嬌。でも、今見てもけっこういいところついているのではないかと思った。

k5trismegistus.hatenablog.com

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テレビ産業は、「番組」のほうで芸能人の広告価値を高めて売ることによって広告市場の価値を高めてきた。一部のオタクは別にして、スペック表を見せられるより嵐が使っている映像を見せられたほうが欲しくなるのだ。

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でも、「タレント」という仕組みを使って広告を作ることができるのは、後にも先にもテレビ産業だけなのである。(映画もかな)その他のメディアは、「タレント」を使わずに、まっとうな広告をするかテレビ産業でつくられた「タレント」のおこぼれにあずかるかどちらかしかないわけである。

そこで、僕はついにテレビ産業以外で「タレント」をつくる試みをサイバーエージェントがやろうとしてるのではないかと思っている。いまのところは元SMAPなどテレビ産業によって作られたタレントに依存しているけれども、徐々にAbema発のタレントを出していこうとしているのではないかと。

なぜネット上の「テレビ」という形をとったのか。それは過去同じことはテレビ産業にしか成し遂げられなかったから、テレビから始めるのが妥当だからだ。自分で言っといてあれだけど、この説はなぜ「テレビ」じゃなければならなかったのかを説明できる。

ドラマやバラエティ番組を自社制作する意味って、ここにしかないんじゃないかなと思うわけです。